おはようございます!埼玉県川越市を拠点にWordPressのカスタマイズやプラグイン開発を行っている、矢部@Edel Heartsです。

2026年4月1日、Cloudflareが発表したWordPressの精神的後継CMS「EmDash(エムダッシュ)」。エンジニアとしてこの波を無視するわけにはいきません。愛用するMacでローカル環境を構築し、普段使い倒しているWordPressの管理画面と徹底比較してみました。

今回はあえて「ローカル環境での検証」に留めています。本番環境(Cloudflare)へのデプロイについては、インフラ側の進化を待ちつつ、成功した際に改めて別記事でレポートする予定です。まずは、その「中身」の凄さをお伝えします。

1. ローカル構築:Local (by Flywheel) に匹敵する手軽さ

WordPressのローカル構築といえば「Local (by Flywheel)」が定番ですが、EmDashの構築体験もそれに引けを取らないスムーズさでした。

ターミナルでnpm create emdash@latestを実行してから、ローカルサーバーが立ち上がるまでのスピードはまさに次世代。WordPressのLocalと同じくらいの手軽さで、あっという間に開発環境が整う感覚は、非常に好印象です。

ターミナルによるインストールコマンドイメージ

サイトタイトルを入力する画面

2. 管理画面(ダッシュボード)徹底比較

ここからは、WordPressエンジニアの視点で「EmDashの管理画面」を解剖します。WPのダッシュボードを見慣れた目には、非常に新鮮な光景が広がっていました。

■ 設計思想の差が見えるサイドメニュー

WordPressのサイドメニューは、機能を拡張するたびに各プラグインが独自にメニューを追加し、整理が大変になるのが悩みの種でした。対してEmDashは、初期状態で「Content Types」や「Webhooks」といった拡張の基盤が整理して配置されています。

もちろん、EmDashも今後プラグインが増えればメニューは増えていくでしょう。しかし、拡張機能が「独立したWorker」として動く設計上、「どこに何があるか」を管理側でコントロールしやすい構造になっているのが印象的です。

■ WPなら「プラグイン必須」の機能が標準装備

驚いたのは、WordPressなら必ずと言っていいほど導入する「Redirection」や「Yoast SEO」のような機能が、最初からコア機能として統合されている点です。

  • Redirects: 404エラーの監視やリダイレクト設定が標準メニューに。
  • Widgets & Sections: サイドバーや再利用ブロックの管理が、視覚的に非常に分かりやすく整理されています。
  • Content Types: カスタム投稿タイプの定義が標準機能。メタデータの「 drafts / revisions / search / seo 」といった機能をチェック一つで制御できる柔軟性は、開発者として非常に心地よい設計だと感じました。

■ ログイン認証に見る「技術者向け」の強いメッセージ

セットアップ過程で最も驚いたのが、認証周りの仕様です。ログイン方法として、Passkey(パスキー)、GitHub、Googleが並んでいます。

登録完了しログイン画面

特にログインの選択肢にGitHubが標準で用意されている点に、このCMSが明確にエンジニアが『心地よい』と感じる設計思想が貫かれているという強い印象を受けました。また、Passkeyの推奨は、セキュリティ事故の多くが脆弱なパスワードに起因する現状への、非常に現代的で強力な回答だと感じました。

3. 【独自考察】EmDashが「覇権」を握るための条件

さて、技術的な凄さは分かりましたが、果たしてEmDashはWordPressに取って代わる存在になるのでしょうか?

私は、EmDashが成功するかどうかは「利用者とコントリビューター(開発者)をどれだけ囲い込めるか」という一点に尽きると考えています。WordPressが今日まで発展したのは、世界中に「これを使ってサイトを作りたい」という利用者がいて、それに応える「魅力的なテーマやプラグインを作る開発者」という巨大なエコシステムがあったからです。

EmDashが盛り上がるためには、以下の要素が不可欠です:

  • 開発者にとっての魅力: TypeScriptでのモダンな開発体験が、どれだけ多くのエンジニアを惹きつけるか。
  • 利用者にとっての安心感: 「困った時にググれば解決策がある」という情報の厚みが作れるか。

この「人の繋がり」と「貢献の連鎖」が起きなければ、どんなに優れた技術も孤立してしまいます。EmDashが今後、どれだけ多くの人をそのエコシステムに巻き込んでいけるのか。それが流行の決定打になるはずです。

4. まとめと今後の展望

私はWordPressを愛していますし、これからもその発展を願っています。しかし、WordPressを贔屓(ひいき)して新しい技術を無視するのはフェアではありません。

今回の検証で、EmDashには「未来のWebの形」が詰まっていることを確信しました。現在はローカル環境での確認に留まりましたが、Cloudflareへのデプロイに成功した際には、改めてそのパフォーマンスを検証する第2弾の記事をアップします。

Edel Heartsは、WordPressのスペシャリストでありながら、常に「次の一手」をフラットな目線で追い続けます。


皆さんはこの新しい波をどう感じましたか?
ご意見や「ここをもっと知りたい」というリクエストがあれば、お聞かせください!

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