「導入費用はいくらですか?」に、サイトが自動で答えられたら

高額な製品やBtoBの取引では、お客様がまず知りたいのは「導入するといくらかかるのか」です。ところが、条件によって金額が変わる商材だと、その都度問い合わせ → 担当者が手作業で計算 → 見積もりを返信という流れになり、どうしても時間がかかります。概算だけでもその場で提示できれば、商談は一気に前に進みます。

今回の開発事例レポートは、LEDパネルの製造販売会社から「デジタルサイネージの導入費用を、Webサイト上で自動見積もりできるようにしたい」とご依頼いただいた案件です。

結論からお伝えすると、組み合わせが複雑な見積もりでも、WordPressの専用プラグインとして開発すれば自動試算は実現できます。今回は、管理者が製品・部品を組み合わせてパッケージを作り、ユーザーが数量と配送地域を選ぶと、見積書のPDFが自動で生成される仕組みにしました。見積もりはメールで通知され、管理画面に履歴として残り、担当者まで割り当てられます。

部品・配送地域・数量・円ドルの為替など複数の条件から料金を自動計算するイメージ

既製の見積もりフォームでは、なぜ実現できなかったのか?

最初に検討したのは「既製の見積もりフォームプラグインで足りないか」でしたが、答えはノーでした。理由は、扱う条件があまりに多次元だったからです。

  • 製品と部品の組み合わせが多数ある
  • そこに数量配送地域が掛け合わさる
  • 管理者が自由にパッケージ(構成)を組める柔軟さが必要

これらを既製フォームの設定だけで表現するのは無理があります。そこで私(矢部)は、この会社の業務に特化した専用プラグインとして開発する方針をご提案しました。あわせて、既存サイトには手を入れず影響を与えない専用プラグイン形式にすることで、いま動いているサイトを壊さずに機能だけを足せるようにしています。

いちばんの山場は「料金計算ロジック」、そして途中からの円・ドル対応

この案件で最も骨が折れたのは、間違いなく料金計算のロジックでした。製品・部品・数量・配送地域が絡むため、条件の組み合わせは膨大になります。それを、管理者が組んだパッケージのとおりに正しく積み上げる計算を、破綻なく作り込む必要がありました。

さらに開発の途中で、想定を超える要件が加わりました。部品の一部が、円建てではなくドル建てになったのです。これにより、円とドルが混在する見積もりを、為替レートを参照して円換算したうえで合算する対応が必要になりました。こうした「開発の途中で現れる現実の要件」に柔軟に対応できるのも、業務特化で作っているからこその強みです。

PDF見積書でつまずく定番、「日本語フォント」問題

もう一つの山場が、見積書のPDF自動生成です。PDFを動的に作るとき、日本語フォントが正しく表示されないのは定番のトラブルで、今回もここでつまずきました。

最終的には、あらかじめ用意した空のPDFテンプレートに、計算結果の文字を流し込む方式で解決しました。ゼロからPDFを描画するのではなく、デザイン済みの雛形に動的にデータを埋め込む。これにより、見積書としての見た目のきれいさと、実用性を両立できました。

プロトタイプを見せながら詰める、という進め方

今回のように仕様が最初から固まりきっていない案件で、私が大事にしているのが「早めに動くものを見せる」ことです。仕様書の文字だけでやり取りするより、実際に触れるプロトタイプを見てもらったほうが、認識のズレが一気に減ります。正直なところ、この進め方は私自身の性に合っていて、相性が良いと感じています。

そのために、本番とは別のステージング環境(テスト用サイト)を用意し、そこでデモをご覧いただきながら、フィードバックを受けて調整を重ねて仕様を固めていきました。私たちは多くの開発案件で、このステージング環境でのデモを挟みます。「作ってから思っていたのと違った」を防ぐ、地味ですが効く工程です。

管理画面で見積もりの履歴を確認し、各見積もりに担当者を割り当てて管理するイメージ

成果:見積もりが「早くなった」だけではなかった

結果として、これまで手作業では難しかった細やかな見積もりの自動化を実現できました。そして、お客様に一番喜ばれたのは、実はスピードだけではありませんでした。

  • 概算をその場で出せるようになり、商談が早く進むようになった
  • 作成された各見積もりを、WordPressの管理画面で詳しく確認できる
  • 見積もりごとに担当者を割り当てられ、「誰が対応しているか」まで管理できるようになった

単に金額を自動計算するだけでなく、見積もりを”業務として管理できる”ところまで踏み込めた点を、とても喜んでいただけました。見積書の発行が、そのまま社内の案件・担当管理につながった形です。

まとめ:複雑な見積もりこそ、業務特化の開発で解決できる

「見積もりが複雑で、既製のフォームでは対応できない」という悩みは、多くの会社が抱えています。今回のように、自社の業務にぴったり合わせた専用プラグインとして開発すれば、複雑な条件でも自動化でき、しかも管理まで一体化できます。開発の途中で要件が増えても柔軟に組み込めるのが、専用開発の強みです。

比較的シンプルな見積もりフォームであれば、自社開発プラグイン Edel Smart Quote Pro でも実現できます。一方、今回のような業務特化の複雑な見積もり・システムは、フルオーダーで開発します。「うちの見積もりは複雑だから、自動化なんて無理かも」という段階のご相談で大丈夫です。まずは一度、お聞かせください。

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