AIチャットボットの「応答は高速」というカタログ文句は、正直あてになりません。何秒なのか、毎日その速さなのか、数字で示されることはほとんどないからです。
そこで当社は、自社のAIチャットボット(RAG型)を本番環境で毎時自動計測する仕組みを作り、回し続けています。この記事では、直近13日間・307回の計測結果を、測り方も含めてすべて公開します。おそらく国内のチャットボット業界で、実測データの定点公開はほとんど例がないはずです。
計測方法(先に手の内を明かします)
数字の信頼性は測り方で決まるので、先に開示します。
- 本番環境で計測——デモ環境ではなく、実際に公開中の自社サイト(edel-hearts.com)のチャットを使用
- 毎時20分に自動実行——cronで24時間365日、機械的に質問を送信
- 応答キャッシュを必ず外す——質問文に時刻を含め、毎回「初めての質問」として処理させる(キャッシュが効くと0.1秒で返ってしまい、実力測定にならないため)
- 計測対象は「質問送信→回答完了」の全行程。最初の反応(体感の初動)も別途記録
結果1:中央値5.2秒。そして13日間のブレ幅は0.31秒

まず全体の結果です。回答完了までの中央値は5.18秒(307回・最速4.0秒〜最遅12.1秒)。そして個人的に一番の発見だったのは、速さそのものより日別中央値のブレ幅がわずか0.31秒(5.03〜5.34秒)だったことです。
この期間、当サイトではブログ記事の連日公開・広告流入の増加・プラグインの更新がありましたが、応答時間は微動だにしませんでした。「たまに速い」ではなく「毎日同じ速さ」——運用する側にとっては、これが一番大事な品質だと考えています。
結果2:5.2秒の内訳と、体感が「即反応」である理由

5.2秒の中身は、おおまかに資料の検索(根拠探し)が約2.0秒、AIによる文章生成が約3.2秒です。RAG型は「調べてから答える」ぶん、素のAIチャットより一手間多い——その一手間が出典付きの正確さの代価です。
ただし、訪問者の体感は5.2秒待ちではありません。最初の反応(考え中表示)は中央値0.07秒で表示され、本文もAIが書いた端から逐次流れていきます。「送信→即反応→文章が流れ始める」という体験のため、実際に触ると数字より速く感じるはずです。速度設計では、合計時間より「最初の0.1秒」が体感を支配する——これは開発を通じて確信したことです。
結果3:90%が6秒以内。スパイクの正体も切り分け済み
分布で見ると、90%の質問が6秒以内に回答完了。一方で5%の確率で7秒を超えるスパイク(最大12秒)が発生しています。
このスパイクの原因も計測で切り分けました。検索部分の所要時間はスパイク時も約2秒で安定しており、揺らいでいるのはAI提供元(生成側)の混雑です。つまり自社インフラ側の問題ではなく、AI業界全体が共有している揺らぎ——ここは正直に「たまに遅い回がある」と認めたうえで、頻度(5%)と上限(12秒)を数字で示すのが誠実だと考えています。
おまけの発見として、時間帯別では深夜3時台が最も遅く(中央値6.1秒)、早朝6時台が最速(5.1秒)でした。深夜はAI提供元のバッチ処理などで混むのかもしれません。
実務への示唆:導入検討者が確かめるべきこと
この計測から、チャットボット選定に使える教訓を3つ挙げます。
- カタログの「高速」ではなく実測を見る——「何秒か」「毎日その速さか」を数字で答えられるかをベンダーに聞く
- 体感は「最初の反応」で決まる——合計秒数よりも、送信直後に反応があるか(ストリーミング表示か)を確認する
- スパイクの存在を前提にする——AI型である以上、たまの遅延はゼロにできない。頻度と原因を把握しているベンダーかどうかが分かれ目
よくある質問
Q. 5秒は遅くないですか?
比較対象によります。人間の窓口の一次返信(数分〜数時間)と比べれば桁違いに速く、素のChatGPT(資料を調べない)と比べれば検索のぶん一手間多い。当社は最初の反応0.07秒+逐次表示で体感を作り、正確さ(出典付き)との両立点として現在の設計を選んでいます。なお回答を簡潔にする設定にすれば、生成時間はさらに短くなります。
Q. この計測は今後も続けますか?
続けます。毎時計測は現在も稼働中で、モデルの変更や改善を行った際の「前後比較」の基準線として使っています。データがたまったら、また定期レポートとして公開する予定です。
Q. 他社のチャットボットと比べて速いのですか?
正直に言うと、比較できません。同条件の実測値を公開している他社がほぼ無いからです。だからこそ当社は自分の数字を公開します。比較したい方は、各社の無料体験で同じ質問を投げて、ご自身のストップウォッチで測るのが一番確実です。
まとめ:速さは「言う」ものではなく「測って見せる」もの
13日間・307回の計測結果は、中央値5.2秒・ブレ幅0.31秒・90%が6秒以内・体感初動0.07秒でした。この数字が速いか遅いかの判断は読者にお任せしますが、少なくとも「測って、そのまま見せる」会社であることはお約束できます。
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