MW WP Formでお問い合わせフォームを作っているサイトは、今も数多くあります。当社が保守・開発を担当しているサイトでも、フォームの約15%がMW WP Formです(Contact Form 7が約70%、その他が約15%)。その一方で、「そろそろ乗り換えたほうがいいと聞くけれど、何から手をつければいいのか分からない」というご相談も増えてきました。

乗り換えのきっかけとして大きいのが、MW WP Formの次の版5.2で予定されているファイル添付機能の削除です。フォームに「添付ファイル」や「画像」の項目があるサイトは、そのまま更新すると添付が受け付けられなくなる可能性があります。

結論から言うと、MW WP Formからの乗り換えは「フォームの画面とメール」「過去の問い合わせデータ」「添付ファイル」「独自のカスタマイズ」の4つを、別々の作業として進めるのが安全です。移行ツールやCSVだけで全部が移るわけではないからです。この記事では、最新版5.1.8を当社の検証環境で実際に動かし、問い合わせデータを書き出して分かった落とし穴と、失わないための手順をまとめます。

この記事は2026年9月29日時点の情報です。5.2の公開時期や各プラグインの仕様は変わる可能性があります。

MW WP Formは今どうなっている?乗り換えが必要な理由

まず誤解されやすい点から整理します。MW WP Formは「開発が終わって放置されている」わけではありません。2023年9月に保守が株式会社Webの相談所へ引き継がれ、2026年も脆弱性の修正版が何度も公開されています。9月29日時点の最新版は5.1.8で、有効インストール数は20万以上です。

ただし、公式は新機能の追加と、WordPressが更新されるたびの動作確認は行わない方針を示しており、他のプラグインへの乗り換えを検討するよう案内しています。そのうえで、2026年中を目安とする5.2で、ファイル添付(mwform_file)と画像添付(mwform_image)の機能を削除すると発表しました。

実際に5.1.8を入れてみると、管理画面の上部に、この削除予定の告知と「添付の項目を使っているフォームの一覧」が表示されました。自分のサイトが影響を受けるかどうかは、まずここで確認できます。

MW WP Form 5.1.8の問い合わせデータ一覧。上部に5.2で添付機能を削除する予定の告知が表示され、フォームで入力した会社名の列が一覧にない。CSVダウンロードボタンがある

まとめると、乗り換えを考えたほうがよいのは次のようなサイトです。

  • フォームに添付ファイル・画像の項目がある(5.2で使えなくなる予定)
  • WordPressやPHPを今後も最新に保ちたい(MW WP Form側の動作確認は行われない)
  • スパム対策にreCAPTCHAなどを別プラグインで足している

乗り換えで失敗しやすい理由:問い合わせデータは「全部」残っていない

乗り換えで一番見落とされやすいのが、過去の問い合わせデータです。MW WP Formには問い合わせを保存してCSVで書き出す機能がありますが、当社の検証環境で試したところ、次のことが分かりました。

検証では、WordPress 7.1.2にMW WP Form 5.1.8を入れ、お名前・会社名・メール・電話番号・相談内容(チェックボックス)・添付・メッセージの7項目を持つ確認画面付きフォームを作りました。2件送信し、管理画面の「CSVダウンロード」で書き出しています。

確認したこと 結果
フォームで入力した全項目が保存されるか 管理者宛メールの本文に入れていない項目(会社名)は保存されない
CSVの文字コード Shift_JIS(Windowsの拡張文字を含む形式)。UTF-8として開くと文字化けする
「髙」「﨑」「①」などの文字 Shift_JIS(CP932)として読めば正しく残っている
添付ファイル CSVにはファイルのURLだけ。ファイル本体はサーバーのuploadsフォルダに別に保存
チェックボックス 「保守,フォーム移行」のようにカンマ区切りで1つの列
電話番号(3分割入力) 「090-1234-5678」とハイフン付きで1つの列
列の名前と順番 見出しは項目の名前(your-name、emailなど)で、アルファベット順

管理者宛メールに入れていない項目は保存されない

いちばん大事なのがこの点です。MW WP Formは、管理者宛メールの本文に含まれている項目だけをデータベースに保存します。公式マニュアルにも書かれている仕様ですが、実際に「会社名」を本文から外して送信すると、会社名は一覧にもCSVにも出てきませんでした。

つまり、メール本文をあとから変えたサイトでは、時期によって残っている項目が違うことがあります。また、保存機能を有効にする前の問い合わせは、そもそも残っていません。「CSVがあるから全部移せる」と考える前に、何が残っているかを確認してください。

もう1つ、5.1.8のプログラムを読むと、データベースへの保存は管理者宛メールの送信に成功したあとに行われる作りになっていました(送信先を空にして保存だけする設定を除く)。メールの設定ミスで送れなかった問い合わせは、データとしても残らない可能性があるということです。

CSVはShift_JISで書き出される

書き出したCSVはShift_JISでした。Excelでそのまま開くぶんには問題ありませんが、乗り換え先のプラグインに取り込む場合は、多くがUTF-8を前提にしています。そのまま読み込ませると、日本語が文字化けします。

MW WP Formから書き出したCSVを、UTF-8として読むと日本語が文字化けし、Shift_JIS(CP932)として読むと正しく表示される比較

取り込む前に、テキストエディタなどで「Shift_JIS(CP932)で開いて、UTF-8で保存し直す」作業が必要です。「髙」「﨑」「①」のような文字は、単純なShift_JISではなくCP932(Windows用の拡張)として開かないと化けることがあるので注意してください。

ここまでのまとめ

  • MW WP Formは保守は続いているが、5.2で添付ファイル機能を削除する予定
  • 問い合わせデータは「管理者宛メール本文にある項目」しか保存されていない
  • CSVはShift_JIS、添付はURLだけ。CSVだけでは完全な引っ越しにならない

MW WP Formから乗り換える手順:4つの作業に分ける

ここからは具体的な手順です。「画面とメール」「過去データ」「添付ファイル」「独自コード」を別々に進め、最後に動作を確かめます。

手順1:今の状態を書き出して保全する

  • サイト全体(ファイルとデータベース)のバックアップを取る
  • フォームごとに、問い合わせデータ一覧の「CSVダウンロード」で全件を書き出す(「Download All」にチェック)
  • 添付ファイルが保存されている場合は、uploadsフォルダの中の添付ファイルも別に保存する
  • フォームの設定画面(項目、確認画面・完了画面のURL、メールの件名と本文、送信先、自動返信、入力チェック)をスクリーンショットなどで控える

手順2:乗り換え先を選ぶ

乗り換え先は、「確認画面が必要か」「過去データを管理画面に取り込みたいか」で選ぶと迷いにくくなります。英語圏のプラグインで「Confirmation」と書かれている機能は、多くの場合送信後の完了メッセージのことで、日本のフォームでいう送信前の「確認画面」とは別物です。

プラグイン 送信前の確認画面 問い合わせの保存 過去データの取り込み
Contact Form 7 拡張プラグインか独自の実装が必要 Flamingoを追加 MW WP FormのCSVを取り込む標準の手順はない
Snow Monkey Forms 標準で対応 別プラグインを組み合わせる 標準の手順はない
Fluent Forms 複数ステップで近い形を作る 標準で対応 CSV・JSONの取り込み機能あり
WPForms 有料版で対応 有料版が前提 有料版でCSVの取り込み機能あり
Form Plant 標準で対応 標準で対応 フォーム設定の変換ツールあり。送信データは対象外

過去データを管理画面に取り込めない場合は、書き出したCSVを社内で保管するという割り切りも十分に現実的です。問い合わせの履歴を「検索して見返せればよい」のか、「新しいデータと一緒に管理したい」のかで決めてください。

手順3:フォームとメールを作り直す

フォームの項目や確認画面は、乗り換え先で作り直します。メールの設定は、文面をコピーしただけでは動きません。差し込みタグ({your-name}のような書き方)は乗り換え先の書き方に直し、次の点も確認します。

  • 送信元(From)はサイトと同じドメインのアドレスにし、問い合わせした人のアドレスは返信先(Reply-To)に入れる
  • 管理者宛と自動返信の両方を、実際に受信して確かめる
  • 電話番号を3分割から1つの欄に変える場合は、入力チェックの内容も見直す

メールが届かないときの確認方法は、WordPressのフォームからメールが届かない原因と解決策で詳しく紹介しています。

手順4:過去データと添付ファイルを移す

取り込み機能のあるプラグインに移す場合は、手順1のCSVをUTF-8に変換してから、まず2〜3件だけ取り込んで確かめます。日本語、改行、チェックボックスの複数の値、電話番号の先頭の0、送信日時が正しく入っているかを見て、問題がなければ全件を取り込み、件数が合っているかを数えます。取り込み時に「既存のデータを削除する」選択肢があるプラグインもあるので、追加なのか置き換えなのかを必ず確認してください。

添付ファイルは、CSVにはURLしか入っていません。ファイル本体を保管した場所と、どの問い合わせのファイルかの対応を記録しておきます。

手順5:独自のカスタマイズと計測を移す

functions.phpなどでMW WP Formのフック(mwform_で始まるもの)を使って入力チェックや送信処理を足している場合、それらは乗り換え先では動きません。メールアドレスの再入力チェック、カタカナのチェック、条件によって必須にする項目などを洗い出し、乗り換え先の仕組みで書き直します。

広告やGoogleアナリティクスで、完了ページ(サンクスページ)のURLを成果として計測している場合も要注意です。乗り換え先では同じページ内に完了メッセージが出る形になることが多く、そのままだと成果が計測されなくなります。完了ページへの移動を再現するか、送信成功のイベントで計測する形に変えてください。

手順6:移行完了のチェック

  • 正常に送信でき、完了画面が出る
  • 必須項目を空にするとエラーが出る
  • 確認画面から「戻る」と入力内容が残っている
  • 添付ファイルが送れて、管理者に届く
  • 管理者宛メールと自動返信が両方届き、迷惑メールに入らない
  • 問い合わせが管理画面に保存される
  • 広告・アクセス解析の成果が計測される

すべて確認できてから、MW WP Formを停止します。古いデータの削除は、新しいフォームで数週間問題なく運用できてからにしてください。

技術者向け:CSVの文字コードを変える方法

5.1.8のCSV出力のコードを読むと、文字コードは「mwform_csv_encoding-」にデータの投稿タイプ名(mwf_フォームID)を付けたフィルターで決まっており、初期値がsjis-winでした。移行作業の間だけUTF-8で書き出したい場合は、次のように書けます(フォームIDが123の例です。当社の検証環境ではこのフィルターは適用していません)。

CSVの見出しには、項目名のほかにID、管理者メール送信先、対応状況、投稿日時、更新日時、メールの件名、メモの列が付きます。対応状況とメモは、MW WP Formの管理画面で記録した内容です。乗り換え先に同じ欄がない場合は、別の列として残すかどうかを決めておきます。

よくある質問

Q. MW WP Formは今すぐ使えなくなりますか?

いいえ。保守は続いており、9月には5.1.8が公開されています。ただし5.2で添付ファイルと画像の機能が削除される予定なので、これらの項目を使っているフォームは、5.2が出る前に乗り換えるか、添付をやめる判断が必要です。

Q. 過去の問い合わせデータは全部移せますか?

全部とは限りません。MW WP Formが保存しているのは管理者宛メールの本文に含まれる項目だけで、添付はファイル本体が別の場所にあります。まずCSVとファイルを書き出し、何が残っているかを確認してください。

Q. 乗り換え先はContact Form 7でいいですか?

確認画面が不要で、問い合わせの保存もFlamingoで足りるなら有力な選択肢です。送信前の確認画面が必要な場合や、過去データを管理画面で扱いたい場合は、他のプラグインも比べてください。

Q. 移行のあいだ、フォームが止まることはありますか?

新しいフォームを別のページで作って確認し、最後にページの中身を差し替えれば、止まる時間はほぼありません。本番サイトのコピーで先に試すとより安全です。

当社のフォームプラグイン「Edel Smart Forms」について

当社では、MW WP Formの確認画面や日本の業務フォームの使い勝手を受け継ぐ新しいフォームプラグイン「Edel Smart Forms」を開発しています。確認画面、問い合わせの保存、reCAPTCHA v3を標準で備え、次の版でMW WP Formからのインポートと添付ファイルに対応する予定です。今回の検証で分かった「保存されていない項目がある」「CSVがShift_JIS」といった点も、インポート機能の設計に反映しています。開発の背景はMW WP Formの現状と課題、Edel Smart Formsについてをご覧ください。まだ公開前のため、今すぐの乗り換え先としては、上の表の中から選ぶことをおすすめします。

MW WP Formの乗り換えを任せたい方へ

フォームの乗り換えは、画面を作り直すだけなら難しくありません。手間がかかるのは、過去データの扱い、メールの到達、独自のカスタマイズ、成果の計測まで含めて、漏れなく移すことです。当社はWordPress専門のエンジニアとして、フォームの作り直しやカスタマイズの移し替え、移行後の動作確認までお手伝いしています。「うちのフォームは何を移せばいいか」の洗い出しからでも、お気軽にご相談ください。

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更新履歴

  • 2026年9月29日:作成(MW WP Form 5.1.8を当社の検証環境で動かし、問い合わせデータの書き出しを確認)

この記事を書いた人

矢部 敦

矢部 敦合同会社Edel Hearts 代表

WordPress専門の開発会社を経営。プラグイン開発・カスタマイズ・保守を専門とし、18時間におよぶUdemyのWordPress講座を開講。出典付きで回答するAIチャットボット「Edel AI Hybrid Chat」開発者。著書『WordPress はじめての最小プラグイン』(Kindle)。本ブログの記事は、実際の開発・運用で得た一次情報をもとに執筆しています。会社情報はこちら

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