「2027年のWordPressはどうなるのか」。AIでサイトが作れるサービスが増えるなかで、気になっている方は多いと思います。ただ、未来の予想から話を始めると、どうしても想像の話になります。そこでこの記事では順番を逆にして、まず2026年9月の時点で、AIからWordPressをどこまで操作できるのかを実際に試しました。
使ったのは、AIがパソコン上で作業する「Claude Code」と、AIとサービスをつなぐ共通の仕組み「MCP」です。本番のコピー環境のWordPressにつなぎ、「サイトの情報を取って」「最近の記事を5件出して」「下書きを作って」と話しかけるだけで、どれも数秒で終わりました。AIがWordPressを操作する未来は、完全な未来の話ではなく、すでに入口まで来ています。
その実験で見えたことと、WordPress公式の開発の方向を重ねて、2027年に起こりそうな変化を5つ挙げます。予測の部分は断定せず、「2026年時点でここまでできる。公式の動きを見ると、この方向へ進む可能性が高い」という書き方で分けています。
この記事は2026年9月26日の実験と、同時点の公式情報にもとづいています。WordPress 7.2の公開(12月上旬予定)や、関連する仕組みの更新にあわせて追記します。
Claude CodeからWordPressを操作してみた
今回の検証環境
実験は、当社サイトの本番のコピー環境(WordPress 7.1.2)で行いました。本番のサイトには何も入れていません。使ったものは次の3つです。
| 使ったもの | 役割 |
|---|---|
| Claude Code | 話しかけると、AIが道具を選んで作業する |
| MCP Adapter(WordPress公式プラグイン、v0.6.1) | WordPressの機能をMCPの「道具」としてAIに渡す |
| 当社で書いた小さなプラグイン | AIに使わせる操作を3つだけ登録する |
AIに使わせる操作は、「サイト情報を取得」「最近の記事を取得」「下書きを作成」の3つだけにしました。削除や設定の変更、ユーザーの操作などは一切公開していません。ちなみに公式のMCP Adapterは、2026年9月時点ではWordPressのプラグインディレクトリにはまだ登録されておらず、GitHubからダウンロードして入れる形です。
サイト情報を取得する
まず、Claude Codeに「このWordPressサイトの情報を取得して」と話しかけました。

AIは自分で「サイト情報を取得」の道具を選んで呼び出し、サイト名・URL・WordPressのバージョン(7.1.2)を表にして返しました。画面の「Called edelnew-wp」が、WordPress側の道具を呼んだ記録です。
最近の記事を取得して、次の記事を提案させる
次に「このWordPressで最近公開された記事を5件取得して」と頼みました。

公開日・投稿ID・タイトルが、WordPressのデータそのままで返ってきます。ここで面白いのは次の一歩です。続けて「この5記事を見て、次に書くべき記事を3つ提案して」と頼むと、AIは取得した記事どうしのつながりを読み、次の3本を提案してきました。

WordPressの中のデータをAIが取り出し、そのまま分析まで進む。管理画面を開いて記事一覧を眺め、自分で考えていた作業が、会話2回で終わりました。
WordPressに下書きを作成する
最後に「『WordPress MCPを試してみた』というタイトルでテスト記事を下書き作成して」と頼みました。

管理画面を開くと、確かに下書きができていました。

ステータスは「下書き」です。この道具は、どんな指示を受けても下書きしか作れないように作ってあるので、AIが勝手に公開することはありません。
つまずいた点:登録していない操作は、AIから一切見えない
実は最初、AIからは何も見えませんでした。このコピー環境は、プラグインを置く場所の設定が標準から変えてあり、私が書いた小さなプラグインが読み込まれていなかったのです。そのあいだ、WordPress側にはAI向けの窓口そのものが存在しませんでした。
裏返すと、これがこの仕組みの安全さです。AIに見えるのは、WordPress側で登録して公開した操作だけです。AIがデータベースをのぞき込んだり、管理画面を勝手にいじったりするわけではありません。
なぜClaude CodeからWordPressを操作できるのか

MCPとは
MCP(Model Context Protocol)は、AIと外部のサービスをつなぐための共通の決まりごとです。家電のコンセントの形がそろっているとどのメーカーの家電も挿せるように、MCPに対応していれば、Claude CodeでもほかのAIでも同じ方法でWordPressにつながります。
WordPress MCP Adapter
MCP Adapterは、WordPressの機能をMCPの「道具」に変換する公式のプラグインです。公式の説明どおりに入れると、WordPressに登録された機能を「探す・調べる・実行する」という3つの道具を経由して使う形になります。今回は見せ方を分かりやすくするため、3つの操作をそのまま道具として出す専用の窓口を作りました。MCP Adapterそのものの入れ方は、ClaudeからWordPressを操作できる?公式MCP Adapterを試してみたで詳しく書いています。
Abilities API
Abilities APIは、WordPressの機能を「AIや外部のツールから呼び出せる処理」として登録する仕組みで、WordPress 6.9から本体に入っています。登録するときに、名前・説明・受け取る値・返す値・誰が使えるか、をまとめて決めます。今回の「下書きを作成」は、次のような形で登録しています(一部を抜粋)。
|
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 |
wp_register_ability( 'edel/create-draft', array( 'label' => '下書きを作成', 'description' => 'タイトルと本文を受け取り、投稿を「下書き」として作成する。公開・更新・削除はできない。', 'execute_callback' => function ( $input ) { return wp_insert_post( array( 'post_title' => sanitize_text_field( $input['title'] ), 'post_content' => wp_kses_post( $input['content'] ?? '' ), 'post_status' => 'draft', // 常に下書き ), true ); }, 'permission_callback' => function () { return current_user_can( 'edit_posts' ); }, ) ); |
REST APIとの違いを一言で言うと、REST APIは「プログラムが決まった手順で呼ぶ窓口」、Abilitiesは「AIが説明を読んで、自分で選んで呼ぶ窓口」です。説明文(description)が、人間ではなくAIに向けた使い方の説明になっている点が大きな違いです。
当社はすでにREST APIで記事の投稿を自動化している
実は当社は、この記事を含めてブログ記事の下書きの登録・画像のアップロード・予約投稿を、Claude CodeからREST APIを使うスクリプトで毎日行っています。ただしそれは、人間が「この手順で投稿する」と決めて書いた専用のスクリプトです。AIはそのスクリプトを実行しているにすぎません。
今回のMCPの実験は、そこが違いました。「最近の記事を見て、次を提案して」と頼んだとき、どの道具をどの順番で使うかは、AIが自分で決めています。人間が手順を書かなくても、WordPressが公開した道具の説明を読んで、AIが組み立てる。この差が、次に挙げる変化の出発点です。
2027年のWordPressで起こりそうな5つの変化
ここからは予測です。実験と、2026年9月時点の公式の開発計画を根拠にしています。
1. WordPressの管理画面を開く回数が減る
今は、記事を書く、タイトルを直す、今月の記事を一覧にする、といった作業のたびに管理画面を開いています。今回の実験のように、「今月公開した記事を一覧にして」「下書きを要約して」とAIに頼む場面が増えていくと考えられます。管理画面がなくなるわけではありませんが、作業の入口が「画面」から「会話」へ広がる可能性があります。
2. プラグインの機能がAIから呼び出されるようになる
これまでプラグインの機能は、管理画面やショートコード、REST APIから使うものでした。Abilities APIとMCPが広がると、プラグインが自分の機能をAI向けに公開する設計が増えていくはずです。予約プラグインなら「来週の予約状況を確認して」、ネットショップなら「昨日売れた商品を教えて」、会員サイトなら「今月登録した会員の数は?」といった頼み方です。WooCommerceはすでにその方向に動いていて、WooCommerce MCPで商品や注文をAIから扱えるようになっています。
3. WordPressがAIエージェントのデータ基盤になる
WordPressには、記事・商品・会員・よくある質問・カスタム投稿など、何年分ものデータが溜まっています。AIがこれを安全に読めるようになると、WordPressは「サイトを作る道具」から、AIが仕事に使う知識の置き場所としての役割も持つようになります。公式のAIプラグインでは、記事の意味で探せる検索(Embedding・意味検索)の土台づくりも始まっています。詳しくはWordPress公式AIが「意味検索」の土台を実装中で実測しています。
4. WordPressプラグイン開発の考え方が変わる
これまでのプラグイン開発では、「管理画面をどう作るか」「ボタンをどこに置くか」が中心でした。これからは「AIからどう呼び出せるようにするか」も設計に入ってくると考えています。新しいプラグインを作るときに、管理画面・REST API・Abilityの3つを最初から用意する、という作り方です。今回、3つの操作を登録するのに書いたコードは、コメントを含めて160行ほどでした。Claude CodeのようなAIの開発ツールと組み合わせれば、小さな開発会社や個人の開発者でも、AI対応のプラグインを作りやすくなります。
5. WordPressはAI時代でも残る可能性が高い
AIでサイトを作るサービスが増えると、「WordPressはもういらないのでは」という話が出ます。ただ、今回の実験で感じたのは逆です。WordPressは、オープンソースで、データを自分で持てて、REST APIもAbilities APIもMCPもそろっている、AIが操作しやすい土台です。世界中にある既存のサイトという資産もあります。AIがWordPressを置き換えるというより、AIがWordPressを操作する方向へ進む可能性が高いと考えています。この議論をデータから掘り下げた記事として、WordPressはオワコン?AI時代の将来性をデータで検証もあわせてどうぞ。
WordPress 7.2はAI時代への通過点になる
2026年12月上旬に予定されているWordPress 7.2のロードマップを見ると、AI関連の作業は「本体ではなく公式AIプラグインで進め、7.2に入る保証はない」と明記されています。そのうえで、次のような項目が並んでいます。
| 7.2の計画にある項目 | この記事との関係 |
|---|---|
| MCP Adapterを最新のMCPの仕様に合わせ、プラグインディレクトリで公開する | 今回GitHubから入れたものが、普通のプラグインのように入れられるようになる |
| AIプラグインからMCPを有効にできるようにする | 今回のような設定の手間が減る |
| 読み取り専用の操作(Ability)を増やす | 「調べて」「一覧にして」系の頼み方が標準でできるようになる |
| AIエージェントに、あとから確認できるIDを持たせる | 「どのAIが何をしたか」を記録できるようになる |
| ブラウザで動くAIから操作を使う方法を探る | WebMCPの実験とつながる |
つまり7.2は、「AIが標準で入るバージョン」ではなく、AIがWordPressを操作するための通り道を整える段階と見るのが正確です。7.2全体の変更点はWordPress 7.2の新機能・変更点まとめにまとめています。
AIからWordPressを操作するときの注意点
便利な半面、書き込みができる道具をAIに渡すのは慎重であるべきです。今回の実験で実際に気をつけたことを挙げます。
- まずは読み取りだけから始める。情報を取るだけなら、失敗してもサイトは壊れません。
- 書き込みは範囲を絞る。今回の「下書きを作成」は、どんな指示でも下書きにしかならず、公開・更新・削除はできません。
- 権限を確認する(permission_callback)。「記事を編集できるユーザーだけが使える」のように、WordPressの権限で制限します。
- 受け取る値を検証する。タイトルの長さの上限、本文の危険なタグの除去などを、道具の側で行います。
- 削除・ユーザー操作・設定変更・プラグインの操作は公開しない。必要になっても、最初は人が最後に確認する形にします。
- 試すのは本番以外で。今回もコピー環境で行い、検証用のプラグインは本番では動かないようにしてあります。
もう1つ、別の実験で見た注意点があります。WebMCPの実験では、道具が使えなかったときに、AIが別の手段を探してパソコンの中を調べ始めました。AIは、渡された道具が使えないと、自分で回り込もうとすることがあります。何を許して、何を許さないかは、道具の側で決めておく必要があります。
WordPressは「AIに置き換えられるCMS」ではなく「AIが操作するCMS」へ
これまでWordPressは、人間が管理画面を操作するCMSでした。MCPとAbilities APIの登場で、AIがWordPressの機能を使う環境が整い始めています。今回の実験では、会話4回でサイトの情報を取り、記事を分析し、下書きを作るところまでできました。
2027年には、「WordPressを使う」という言葉の意味が少し変わっているかもしれません。管理画面を開いて操作するのではなく、AIに頼み、その裏側でWordPressが動く。WordPressがなくなるのではなく、WordPressの使い方が変わる。そういう使い方が、これから少しずつ増えていくと考えています。
よくある質問
Q. MCPでWordPressを操作するのに、プログラミングは必要ですか?
2026年9月時点では、ある程度必要です。公式のMCP AdapterはGitHubから入れる形で、独自の操作を公開するにはPHPで登録するコードを書きます。7.2の計画では、プラグインディレクトリでの公開や、AIプラグインからMCPを有効にする機能が予定されています。
Q. AIがWordPressのデータベースを勝手に書き換えることはありますか?
MCPとAbilities APIを使う方式では、AIはWordPress側で公開した操作しか呼べません。データベースに直接触れることはなく、操作ごとにユーザーの権限も確認されます。ただし、公開する操作の設計を誤れば危険なことに変わりはないので、最初は読み取りだけから始めてください。
Q. 本番のサイトで試してもいいですか?
おすすめしません。まずはローカル環境やステージング環境で、読み取りの操作だけを公開して試してください。書き込みの操作は、下書きしか作れないようにするなど、範囲を絞ってから本番に移すのが安全です。
Q. ChatGPTやほかのAIでも同じことができますか?
MCPは共通の決まりごとなので、MCPに対応したAIであれば同じ方法でつなげます。ブラウザの中でAIに操作させる新しい方式(WebMCP)については、WebMCPを試した記事をご覧ください。
自社のWordPressや業務を、AIから使えるようにしたいなら
今回のように、WordPressの機能を「AIから安全に呼べる操作」として公開するには、どこまで許すかの設計と、それを守る実装の両方が必要です。当社はWordPress専門のエンジニアとして、プラグインのAI対応や、AIが処理して人が最後に確認する業務の自動化を実装しています。「うちのサイトでAIに何をさせられるか」から、お気軽にご相談ください。
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既存のプラグインにAIから呼べる機能を足したい、という開発のご相談はカスタマイズ・プラグイン開発から承ります。
更新履歴
- 2026年9月28日:公開(2026年9月26日の実験と、同時点の公式情報にもとづく)